頑張る君と頑張るさんに。
頑張れという言葉はNGワードだ、とよく言われます。
私もその意見に概ね同意します。
ただ、頑張れと言ってはいけない、とまでは言えないなと思います。
なぜそう思うのか、というのを今回の議題として書いていきます。
まず、なぜ頑張れという言葉は良くないのかという点について考えてみます。
1つは、上から目線っぽいこと。
もう1つは、既に頑張ってる人が言われた場合、これ以上どう頑張れっていうだよ!となってしまうこと。
更に言うと、頑張れという表現が陳腐化してしまっていることも理由の1つかも知れません。
これが私の思いつく主な問題点です。
次に、なぜ人は他人に頑張れと言うのかという点について考えてみます。
これは時と場合、あるいは発言者によって理由はかなり多岐に渡ると思います。
とっさに思いつく励ましの言葉が「頑張れ」くらいしか無かったとか、自分も誰かに「頑張れ」と励まされたことがあるからとか。
安易な気持ちで言う場合もあれば、心の底からそう思って言う場合もあります。
また、頑張っていない人に対して頑張れと言う場合と、頑張っている人に対して頑張れと言う場合もあると思います。
前者はそのままですが、後者はなぜ頑張れと言うのでしょうか。
頑張りが足りない、もっと頑張れという意味合いで使われているのでしょうか。
私は、励ましたいという思いや、力になりたいという思いを伝える手段として「頑張れ」という言葉が使われているのだと思います。
私が、言ってはいけないとまでは言い切れない、と思う理由の1つはここにあります。
心の底から応援したい気持ちを表現しようとして、頑張れを使う場合というのは少なくない筈なんです。
頑張れの代替えとなる言葉があまり無いのです。
単語ではなく文章にして気持ちを伝えるのが一番ですが、短さとお手軽さによって「頑張れ」が多く使われるのでしょう。
この名状しがたい気持をどう表現しようか、と悩む必要もなく頑張れという言葉が出てくる訳ですね。
悪気があって「頑張れ」を使っている訳ではない、ということです。
そうは言うものの、お手軽ゆえに多用されると重みというものが無くなってしまいます。
使用機会が多すぎて、頑張れと言われた人が、相手の気持ちを察しにくいという問題が生じます。
この人はどうして今私に頑張れと言ったのだろう、という悩みが生まれてしまいます。
相手の気持ちを察しようと考えられる余裕があればまだ良いです。
必死に頑張っている人は余裕が無い場合というのは少なくない筈です。頑張っているんですから。
すると、最初の方に書いたような、頑張ってるのに頑張れってどういう事だよ!となってしまいます。
ましてや自らが望んでいない努力を強いられている場合なんて最悪です。いやいや頑張っている状況で、外野から頑張れと言われたら発狂しますよ。
頑張れと言った人がどんな気持ちだったにしても。
これが私が頑張れがNGという意見に概ね賛成する理由です。
お手軽な言葉ですが、使い方が凄く難しいのです。
私は、心の底から応援したいと思っているなら頑張れと言っていいと思います。
誰にもその気持を制限する権利はないですし、その気持ちの上で出た言葉が悪だとは思えません。
ただ、別の表現は無いのか、今それを言っていいタイミングなのか、ということは十分に考える必要のあることだと思います。
福祉の相談援助を学んだ時、頑張れという言葉や、根拠の無い励ましは絶対にしてはいけないと教わりました。
立場によっては使ってはいけない言葉なのです。
その事を踏まえて、頑張れという言葉を使ってください。
もちろん、気軽に使って良い場面もありますから用法用量をよく守ってお使いくださいといった所でしょうか。
それでは皆様よい「頑張れ」ライフをお送りください。
頑張ってね!
おわり。