転換期。

 心情を吐露する場を求めた結果がここだった。
 今後の人生を左右するであろう選択を迫られて、どうしたら良いのか全くわからない。
 今日、バイト先にこの辺の地域を統括する人が来ていたのだけれど、社員にならないか的な事を言われた。あまりに唐突だったのでその場はお茶を濁して逃れたんだけど、考えといてと言われてしまった。
 じゃあ社員になります!って言ってそのまま何の苦労もしないで社員になれる訳じゃないんだろうけれど、それでも他の全く知らない会社で社員になろうとするよりハードルは低いはずだ。
 このままだらだらとバイトを続けても何も見えてこないし、社会的に見れば苦しくなっていくだけだ。
 この就職難というご時世に社員の誘いが来ることはとても素晴らしいことで、ありがたいことなのだろう。
 ではなぜ私はこんなにも悩んでいるのか。
 一番の理由は、未知なるものに対する恐怖心や不安があることだ。バイトという環境でぬくぬくやっていた私は、社員の苦労を見てきている。当たり前のことだが毎日8時間労働だし、休みは週に2日しかない。連休だって基本的にない。3,4連休もらえるのはそれが夏休みとかゴールデンウィークの代わりだからだ。
 大変かは実際体験してみないと分からないが、今の私から見れば大変そうに映る。まあ十中八九大変だろう。
 もっと休みたいし、もっとだらだらしたい。
 最も正確に私の心情を述べれば、働きたくないのだ。
 働くことの楽しさとか、達成感とかそういうものも理解している。だが、働かなくていいなら働きたくない、これが私の正直な気持ちだ。
 社員になれば一人暮らしをしなくてはならないだろうし、そうなると家に両親だけが残る。それも少し心配だ。一人暮らしの場所がレオパレスであろうことも私を憂鬱にさせる一因だ。レオパレスのいい噂なんて一つも聞かない。
 でも一人暮らしにはちょっと憧れる。楽しそうだ。実際はそうではないのだろうけれど。きっと実際には面倒な事のほうが多いに決まっている。
 社員になれば、社会的な負い目からは脱出できるし、給料だって手取りで今の倍はもらえるはずだ。自分の車も持てるかもしれない。楽しいかは分からないが8割くらいの確率で一人暮らしを経験できる。十分すぎるくらいのメリットだ。
 デメリットは、と考えると酷く自己中心的な事しか出てこない。休みが少ないとか、仕事が大変とか。人間関係が大変そうとか。それはどこに行っても同じなのだ。正社員という安定した立場に払う必要な代償なのだ。
 今の自分は結局、その甘えのような部分を捨てきれずにうだうだと結論を先延ばしにして、いつかはどうにかなるだろう、という思考で生きている。その思考で大学卒業から2年間生活してきて、分かったことは、時間だけが過ぎて何も変わっていない、ということだけだ。他人任せで現実から逃げていたら何も変わらない。むしろ悪化しているのかもしれない。
 それでも私は働きたくないし、楽をして生きたい。
 でもそうも言っていられないであろうことは理解している。
 だからこそ悩んでいる。
 最善の答えは既に見えているのかもしれないのに。
 終わり。